ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

咲いて物憂き春の夕暮れ

 

 

 

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 土曜の晩の心のオアシス,三太の湯。夜間料金で入ったのに,ひと風呂浴びて出てみれば空はまだ明るい。日が伸びて得した気分です。

 

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 周囲には花,花,花。三太さんも埋もれます。

 

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 水戸では散った桜が,山峡のここではまだ見ごろ。これはエドヒガンかな。

 

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 ヤマザクラも盛りです。

 

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 夕闇にほのかに浮かぶ姿と香り,オオシマザクラユキヤナギ,白妙の色を競ってます。色だけでなく香りも。ユキヤナギが普段控えめな香りをまるでオオシマザクラに当てつけるように強く放っているんです。大人しい顔してやるときはやります。

 

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 コブシはもう散り際です。色褪せ艶も失せ,すがれて黄変した花びらが,しかし妙になまめかしい。最近,この花の見ごろは老成したあたりではないかと思うようになりました。

 

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 薄明の光の中,ひときわ明るく見えるのが水仙。ヒトの目が敏感に拾う波長の光を漂わせます。夜はこれからだよ,と。

 

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 花が咲き,そして散るのを儚い夢と思う人もいるでしょう。でも私には,花々の発する歓喜の歌が聞こえます。今日のこの三太の谷が濃密な生命の気で満たされて見えます。


 この小さな谷には花期の揃った木々が人間の手で集められ,盛大な祝宴が仕組まれました。いえ逆です。人間が植物にそう仕向けられました。美しい花という有用性で人間に守られ増やされるという植物の戦略です。植物にとって開花は見せ場,一年間貯めに貯めたエネルギーを開放する祝祭でありましょう。精気を注いで大切に育てた花芽の出来を,花期を同じくする仲間に披露し,称え合う照覧の場なのです。


 そしてその場に引き出された花々は,恥ずかし気に咲き初め,歓喜を浴び,欄熟し,芳香を放ち,そして華やかに誇らしげに散っていきます。あとに物憂いけだるさを残して。

 


 春の野で一夜寝につると詠んだ人がいた,その心やかくや。

 

 

 

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