ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

炎暑・零戦・北斗星

 

 2024年8月11日、水戸の最高気温が 36.6度をマークしました。もうここは水戸ではなくなってしまったような。ちなみに平年値は 30.3度です。7月の大暑の頃に 37.7度というのがあってこれが今夏のピークと思いましたが、油断はならないようです。高温は来年まで続く可能性があります。根拠は昨年から言っている太陽活動。これ書いてる現在も黒点のでっかいのが一つ、光球面のど真ん中にあります。ちょうど今夏が活動ピークなんだとか。太陽活動と地球の気温の関係は科学的に証明されていないので解説者が言及しませんが、根拠がないことに関しては「人為による温暖化」と同レベル、いや観測事実が数百年前から歴然とあることを考えればこちらの方が信用できます。いま温暖化だ二酸化炭素だと言っている連中が数年後に気温が下がった時何と言うのか、今から楽しみです。…… すいません今日はそんな話じゃなかった。


 翌12日。今日も暑くなりそうだ、体調も万全じゃない。一日家で冷房を効かせて過ごそうとビデオデッキにBDをセットしたところでやっぱり来ました、思い付きの家族お出かけが。県西の方で零戦を展示している所があるので見に行こうと。いつものことですがこちらの都合とか天候とかお盆で混むとかまるで眼中にありません。思い付きは無敵です。運転はしてくれるというので、まあ同行しましょう。家族は大事です。それにこうでもしなけりゃ私を連れ出せないことを敵もよく知ってます。敵じゃないけど。

 


 着いた所は筑西市下館のその名も「ザ・ヒロサワ・シティ」。茨城県内の方はおや、と思われたでしょう。水戸の千波湖畔に長らく「県民文化センター」の名で親しまれた大ホールを備えた施設がありますが、ある日を境に「ザ・ヒロサワ・シティ会館」になりました。どうですこのネーミング。ヒロサワって誰よという違和感に「ザ・」が上塗りをかけてます。あんまりな新名称はいつまで経っても県民に馴染まず、今でもここで行われるコンサートのポスターには(県民文化センター)とカッコ付きで書かれます。現知事さんになってからの県政の、とても分かりやすい象徴的事例です。ヒロサワさんがどういう方でどれくらい県におカネを落としてくれているのか存じ上げませんが、筑西市はその本拠地です。何となく町中に銅像肖像画が居並ぶ光景を想像しました。

 


 で、一歩踏み入れた「ザ・ヒロサワ・シティ」、ここでさっそくヒロサワさんにお詫びをせねばなりません。件のネーミングセンスから、ヒロサワさんを自己顕示欲に凝り固まった成金の典型のように思い込んでおりました。ところが施設のどこを見ても、廣澤精機製作所という医療器械メーカーを母体とするヒロサワグループの資料館を見ても、ヒロサワさんの顔写真ひとつありません。むかし「船の科学館」を見学した際の、何だこりゃ笹川良一記念館かと思ったような印象はありませんでした。ごめんなさい、心を無にして見学します「ザ・ヒロサワ・シティ」。

 


 ここは美術館、ゴルフ場、農園、キャンプ場、図書館、そして学校が設置された広大な複合施設です。私財でここまで作ったかと驚きます。そして零戦が展示されているのは「ユメノバ」というテーマパーク。夢の場ですか…… いや、ネーミングセンスはもう問いません。

 


 入場料は大人2500円、小学生500円ほか。大人3人で行ったので7500円払いました。高っけェェとその時は思いました。

 


 とにかく暑い。海風の届かないここは水戸より数度高いはずです。ユメノバそれ自体が広大な敷地にさまざまな展示館を配してます。お湯の中を泳ぐように、まずは目的の「科博廣澤航空博物館」へ。

 


 本物どっかん。国立科学博物館が所有する記念的航空機を展示しています。

 


 まずは零戦。「れいせん」とお読みください、零式艦上戦闘機旧日本海軍の主力戦闘機で、日本の航空技術を語るうえで外せません。

 


 ニューブリテンラバウルの沖合いで発見、引き上げられ修復された機体です。発見されたときのニュースをよく覚えています。零戦21型を現地で複座に改造した機体、最後に乗っていたのはどういう人だったろうか。

 


 これもちょっと胸アツ、国産旅客機YS-11 の量産1号機。科博が羽田空港に保管していたそうですが、おカネ掛かっていたろうなあ。展示場所を得て科博もヒロサワさんもウィン・ウィンでありましょう。

 


 YSのターボ・プロップエンジン。大戦で散々な目に遭って日本の航空技術を恐れたアメリカは、戦後の飛行機製造をなかなか許しませんでした。ようやく日の目を見た国産の翼です。

 


 でもボクが一番食いついたのはコレだあ。シコルスキーS-58 というその公式名よりも、この無骨なスタイルとオレンジ塗装! 日本の南極観測史を語るうえで無くてはならない、観測船「宗谷」搭載の、宗谷や昭和基地の写真に必ず写り込む雄姿。ああ拝むくらいじゃ足りない、天使のように舞って南極観測隊を支え続け、科学を愛する昭和少年の魂に焼き付けられたヘリコプターです。

 


 無骨と申しましたが、もっと正直に言うと不細工です。ぶさいく天使とお呼びしよう。今の眼で見ると呆れるほどに不合理な配置で、機首下に空冷星形レシプロエンジンが置かれ、回転軸が操縦席を突き抜けて屋根のローターを回すという恐ろしい機構です。でもエンジンの整備がしやすいという利点もあり当時のベストセラーヘリであったとか。

 


 ああこの排気管の乱暴なことったら。でもそれが有無を言わさぬ説得力。この機体の不骨さは、そのまま機能美でもあります。同じ感想をかつてアニメ「装甲騎兵ボトムズ」の主役メカ「スコープドッグ」に抱いたことがありました。不細工は美しい。

 


 という航空機の展示でしたが、何とこの建物には冷房が無い。冷風扇が何台か唸っていましたが 37.7度というこの日の暑さには効果ありませんでした。読者さまがおいでになる時は季節をお選びください。

 


 これもお好きな方にはたまらないでしょう。鉄道車両の展示です。電源繋いでクーラー付けて、中は快適です。

 


 新幹線は、何と言うか見慣れた感覚で感慨が湧きません。効率的な大量輸送システムは社会的にとても意味のあるものですが、ロマンは無い。

 


 ロマンと言ったらこれ、寝台特急北斗星」。

 


 A寝台の座席に腰かけたなら、もう心は遠来の孤独な旅人です。

 


 B寝台では気のおけぬ友人と寝っ転がって旅したい。

 


 食堂車。おおお映画でしか見たことないぞ。

 


 このラウンジでグラスを傾けていたのはどういう人だったろうか。

 


 鉄道ファンではない私にしてこれほど心動かされるとは。でもユメノバはこれで終わりません。

 


 クラシックカー

 


 クラシックバイク

 


 何より充実、消防車展示。

 


 ねえ「じぷた」って知ってる? そういう絵本を子供に読んで聞かせた思い出はありませんか?

 

            
 このかっこよすぎる消防仕様のサイドカー岩手県の遠野で実際に使われていたもの。

 


 ミニカーもこれでもかと。

 


 七福神が並んでるあたりが唯一、私設博物館らしいところかな。

 


 いかがでしたかユメノバ。飛行機、鉄道、消防車、クラシックカー、ミニカー、ペンシルロケットやラムダロケットの実物までありました。つまりは男の子の好きなものが、ぜんぶ本物を集めて展示してあるんです。屋形船とクルーザーには笑っちゃいましたけど。よくも集めたもんだなあと、その蒐集に掛けた熱意と財力に頭が下がります。ネーミングで難癖付けてしまいましたが、夢の場というのはある意味ウソではありませんでした。

 


 入場料、元が取れました。映画館で2000円払ってつまらない映画を見せられるよりよっぽど楽しかった。開館間もなくまだ施設や展示物が痛んでません。知名度も低く混雑してません。男の子、及び現実逃避しがちな元男の子、今がチャンスです。筑波山を望む広大な茨城の空の下、忘我の一日はいかがでしょうか。

 

 

 

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