ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

アリとトリカブト

 

 二十四節気の「霜降」です。さすがに気温が下がりましたけど、これでもまだ平年値よりは高いのだから今年の気候には呆れたものです。茨城ではサツマイモの収獲が最盛期。全国二位の生産量を誇るこの紅い芋が視界一面に掘り上げられた風景を見ると、この地の豊かさを感じずにはいられません。


 さて今日のフィールドは? 例年と開花をずらした花々に振り回されて、見逃すものがある一方で意外な出会いも期待できたりする日々、今日は「水の森」から「里山ホットスポット」を巡ります。

 


 森に入って早々に、これはタマスダレの少しいじけたやつ。園芸植物で、有毒で、こんな森にあってはいけないものです。実はここ、近所の農家のたぶんジジイが農業ゴミを捨てにくる場所で、庭の廃土とかを捨てた際に球根が混じっていたのでしょう。

 

           


 小キノコ2題。夏キノコはたくさん出ましたがその反動か、この秋はさっぱりです。

 


 わあ何をトチ狂ったかニリンソウ。ぽつんと一輪いじけてます。春の林床を一面に飾ってこその花です。

 


 路傍にピンクの星が点々と揺れてます。これはヌスビトハギ。今日の森で目に付いた唯一の花です。名の由来、実を見た方が早いかな。

 


 くくくく、と書いたような実、いわゆる「ひっつき虫」の一つで、この表面にある微細で鉤爪のような毛で服に引っ付きます。けっこう厄介。なぜヌスビトかというと、昔の泥棒が家の中で物音を立てぬよう抜き足差し足で歩くとこんな足形を残したんだって。昨今の闇バイト強盗と比べれば何と呑気な時代であったことか。

 


 小さいながらマメ科らしい蝶形花で、いちばん上の大きな花びら「旗弁」を誇らしげにかざしています。マルバヌスビトハギやらヤブハギやらよく似たものがあって、本当は厳密に同定しなきゃなんですけど、可愛い花が撮れたんでもういいや(こらこら)。それよりも私の気を引いたのは、このかそけき花茎をアリやクモが縦横に歩きまわっていること。この写真でも画面いっぱいにクモの足跡たる細い糸が見えてます。あ、クモの写真は載せませんので恐怖症の方、ご安心ください。

 


 アリさんだけね。ケアリの一種、とか適当なこと言っとこう。


 花を求めて来たのが、アリの接写とか始まってしまった。これ以上の花もないので森を出ます。次に向かうのが「里山ホットスポット」。

 

 


 こんなお堂もある自動車道路のかたわらに、なぜか野と山の植物が混在する異次元スポットが。春にはタンポポ咲く中に赤いイチリンソウルイヨウボタン、初夏には斜面いっぱいにカザグルマの群落が出現するというとんでもない場所です。秋には何が出るのかな。道沿いに進んでみます。

 


 ユウガギクヤマハッカが一隅を埋めてました。

 


 これは何だろう、と悩みました。とりあえずホソバアキノノゲシということで。

 


 撮り方次第とは思うのですが、ツリフネソウは花茎や実の見苦しさもあってあまり写欲が湧きません。これは逆光がきれいだったので。

 


 トリミングすれば何とかなった。私に足りないのはフットワークか。

 


 ノハラアザミの一形態、クルマアザミ。茨城ではよく見かけます。

 


 ほぼ雑草のゲンノショウコだけどそこはフウロソウ科、寄ってみればスキのない調和のとれた美にしばし見惚れます。

 


 わああツクバトリカブト。ごめんなさい少し色を強調しています。トリカブト里山に残る者の不幸は、草刈りに弱いこと。さあ花茎を伸ばすぞというタイミングで夏の草刈りに遭うので、開花に至りません。これは幸運にもお百姓さんがサボった場所で怪しの花をたわわに付けることができました。

 


 地味ながら、これが今回の「森の記憶」を示す者です。オオバショウマトリカブトの並びで、他の草に圧倒されながら開花していました。本来は山中の林床に暮らす者なので、ここのは花付きが悪く葉はいじけ、まあいろいろと苦労しているようです。森を懐かしんでいることでしょう。

 


 晩秋の色、ヤブミョウガの果実。これとリンドウの花の共に青紫色は、嫌でも晩秋の風のにおいを思い起こさせます。ここから秋は足を速めて、色彩の季節は意外に早く終わりを迎えるのかも知れません。こちらも急がねば。

 

 

 

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