水戸は 10 月の最高気温が 31.9 ℃ で 11 月の最低気温は 1.0 ℃。2ヶ月で 30 ℃の気温差を体験したことになります。カラダがもたん。
困ったのが週2回の「駅までさんぽ」。朝にその日の最低気温の中家を出て、昼に最高気温近い中を帰るのです。服装でいつも悩みました。
いつも踏んでごめんねみとちゃん。
で、今回は「お散歩の花」回です。ムシは出てこないからご安心くださいね。
侵略
駅から図書館に向かう道の石垣に、何だこれは。
ヨウシュヤマゴボウです。けなげにも花芽をつけて。
2か月後に見た時には、だいぶ痛めつけられて実もありませんでした。でも
また花芽をつけている。逞しいなあ。応援したくなるぞ。
銀杏坂の途中にもいた。敷石の狭間で、放置された脚立の陰に隠れてはいますが、いつ蹴っ飛ばされても文句言えない場所です。
開花して
結実しました。この、どんな絶望的状況にも生への渇望を失わない強さを、私たちは見習わねばなりません。…… それにしても、なぜこの種なんだ。乾燥・高温に強い外来種とはいえ、なぜこいつが街なかに次々と芽を出すのか。
答は銀杏坂を登り切った南町一丁目にありました。歩道に飛び散る赤い色に血だ、血だと慌てたら
傍らでこれが踏まれてた。ヨウシュヤマゴボウの実の汁でした。子供のころ色水作ったっけな。
出どこはこいつだあ。昨年か一昨年にも記事にした、潰れたお店の前の大株。以前よりデカくなっている。こいつの落とす種が人の靴に付いたりして広がっていたんだ。悪の胞子を振りまき続ける毒の花、あるいはSF小説「宇宙の戦士」に出てくる宇宙グモの母星みたいなもんか。こいつを倒さねば、やがて水戸の街はヨウシュヤマゴボウで埋め尽くされるであろう…… なんか楽しそうだな。
この肥大した根株を見てちょーだい。数年かけて成長した難攻不落のジェリコの砦、もはやいかなる攻撃も寄せ付けない構えです。冗談抜きでこれを根絶するには周囲の敷石をぜんぶ引っ剥がして掘り取らなくてはなりません。私の知る限りで3年放置されているこの店、新オーナーさん戦ってください。
ヨウシュヤマゴボウを悪く言うわけではありません。生きる気力もないような「希少種」と比べれば、こいつの膂力りょりょくはむしろ賞賛に値します。私が路上で出会う他の者たちもみな、私を喜ばせてくれる「生」の体現者たちです。
路上天国
もうすぐ霜が降りる、その瞬間までこの者たちは路上で笑い続けるんだろうな。
ツルバキア。街路樹の根元にぽつんとありました。いつから、どこから。
※ 当初「ハナニラ」としましたが、読者さまからのご指摘で訂正しました。
街にはミッション系の幼稚園がいくつもあるのですがその一つの表の植栽に、何だこりゃ。一見コショウですが、コショウ科の園芸種なんてあるのか。
あるんです。ウスバスナゴショウと言うそうです。初めて見たあ。
お店の門前の植栽樹なんですがオリーブ。水戸では珍しいもので。
ちゃんと結実するんだ、へー。これが搾ったらアブラが出るっていうアレですか。
園芸店では属名のオキザリスと呼ばれるカタバミ科の園芸種。インカノカタバミっていう和名がありました。インカノってあんた。
わあびっくりした。ミゾカクシじゃんお前。サンク・エールとかもっともらしい名札を付けられてフラワーポッドに収まっているけど、田んぼになんぼでもあるミゾカクシじゃん。キキョウ科です。
統制のとれた南町二丁目の花壇では珍しいイレギュラー。トウガラシだあ。なんでこんなところに。ちなみに
このゴシキトウガラシも植物種としては「トウガラシ」です。シシトウも、パプリカも、ピーマンも、みーんなトウガラシ。すげえ野菜だ。私はパプリカもピーマンも苦手ですが、我が家の菜園では大量に養育され大量に食卓に上がります。家人のしわざです。きっと過去の遺恨の仕返しをされてるんだと思います。
さあ困った。シソ科なのは間違いない。花はカキドオシに似ているけど他はまったく似ていない。日本の自生種がこんな縁石のすき間に出るわけがない。園芸図鑑で見つからない。ないない尽くしで謎は謎のまま。
これも困った。ここは個人商店が消滅して銀行の支店が立ち並ぶ街区。フラワーポッドは放置されエノコログサなんかが大喜びしている中にぽつんと立つは
誰だおマエは。種名の見当がつきません。偶数羽状複葉というとんでもない特徴の葉で、水戸でこれに当てはまるのはカイノキかムクロジしかないんだけど、そのどちらとも言えない。妙な形の芽は花芽でしょうか。ああっわからん。とりあえず様子を見よう。ヤブ医者かわしは。
駅前広場の花壇、ああキレイ。こんなもんでいいんです。あの世ってのはこういうとこかなあ。
青空の日が続くようになりました。
南島の人へ
駅まで歩いて図書館に戻って、そこで本降りの雨に遭いました。いえ雨は好きですが、晴れ男には珍しいことなので。この図書館周辺、旧県庁広場もすっかり私のフィールドです。
植え込みに元気に咲くヒヨドリジョウゴ。でも今年は実をつける前に刈られてしまいました。スマン私が記事にしたばかりに。
1本だけあるサンシュユの赤い実。今年は鑑賞する間もなく鳥に食い尽くされました。そういえば我が家のウメモドキの実も落葉を待たずに丸坊主にされた。猛暑で季節が遅れているというイメージがありましたが、鳥はカレンダー通りに行動しているようです。
小学校前の歩道の目地に整列するのは
シラカシのどんぐり!
見上げたら母木がありました。どんぐり、子供たちにも拾われているんだろうな。もちろん植栽されたものでしょうけど、子供を喜ばせるために飛んできて根付いた、なんてストーリーはどうですか。え?お前が言うとキモチ悪いって?
どんぐりつながりで、図書館玄関前のスダジイ。たくさん生っているのが見えます。
昔のひとはアク抜き無しで食べられるどんぐりを「シイ」と言ったようです。マテバシイは食べたけど、スダジイはないなあ。食に関して保守的であることで損してるのかなあ、わし。
サザンカが咲き始めて、ようやくもう初冬なんだと気付きました。いつまでも続く高温に騙されていたのは人ばかりではなく
木々も慌てて冬支度です。植栽のイチョウは遺伝的には均質のはずなのに、一本一本黄葉や落葉のタイミングが違います。個性って不思議です。
このブログがどれくらいの範囲で見られているか存じませんが、沖縄とか大東島とかの南島の方々に読まれることもあるのでしょうか。だとすれば、茨城の自然を紹介するこのブログを読んで何を想われるのでしょう。もしそんな誰かと友達になって、水戸に招待することがあったら、私はこの秋の風情をお見せしたいと思うのです。
たぎる生命の季節を駆け抜けて眠りに就く植物たちの、その盛大なフィナーレを。
↓ 昨年の 11 月。今年とはだいぶ様子が違います。