ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

彩雲

 


 また更新遅れてすいません。旅行に行っておりました。家人に付き合っての温泉旅行、よりにもよって夏休み入りの3連休まるまる使って有名観光地の宮城県鳴子温泉へ。人ゴミ、渋滞、混雑。何一つ私の好む要素がありませんが、これも務めです。期日前投票、初体験でした。

 


 19 日朝、常磐道で福島の海岸側通称「浜通り」を北へ。仙台の街をぐるりと東回り、東北道に合流して古川インターで降りれば鳴子温泉までは一直線です。


 乗り気でなくても下調べは怠りなく。鳴子のあたりは古いカルデラがいくつも重なった火山地帯です。少し早く着いたので、温泉街の上にある火口湖「潟沼」に行ってみます。

 


 わあ、こんな景色があるとは。…… でも雲を見るクセで気付いてしまいました。このコンパクトカメラで撮った写真の上端。雲がうっすらと虹色になっているのを。

 


                彩雲です。


 彩雲は吉兆です。飛鳥・奈良時代にはこれが見えただけで改元されました。私は不思議と旅先で見ることが多いのですけどそれで特別な幸運に合ったということもありません。ただ無事に帰れたのが幸いということか。それよりも「彩雲」という言葉が私には特別な感慨を呼び起こします。軍事ネタですが、旧海軍が運用した艦上偵察機の名です。流麗な美しいスタイルと群を抜く高速性能、「われに追いつくグラマンなし」の電文で有名な…… これくらいでやめときましょう。吉兆としての、彩雲です。

 


 幸先いいね、なんて言いながら沼を一周して

 

      
 まだ時間があるので山を越えた鬼首おにこうべの間欠泉を見てから宿に向かいました。

 


 鳴子は「こけし」で有名。この旅のそちこちに立っているのだけど

 


 どれもだいたいこんな感じになっていて、賑わいが過去のものであることを物語ります。

 


 宿の真ん前は小学校。近代的で広壮な建物ですが、なぜか人けが感じられません。聞けば、なんとこの3月に閉校したばかりだって。

 


 いま日本中にこんな風景があるんでしょうね。


 宿はこの温泉街では評判のいい老舗のホテルです。家人が決めました。某国人の団体はいません。朝夕の食事はバイキングながら豪華な料理が並び、例によって食べ過ぎてしまいそうです。案内された窓際の席からは

 


 わあ日本昔ばなし

 


 重なる山並みと農家風の家々。

 


 川を渡る歩行者だけの橋。ううむその河原、降り立ってみたいぞ。

 


 二日目は鳴子峡散策。おお絵葉書のような風景……「絵葉書」と言って若い人に通じるか知らんけど。

 


 渓谷を水際まで降りる道がありました。降りたからにはまた上るんだよ、という私の忠告は聞き入れられませんでした。

 


 クワガタの頭だけ拾った。ああ虫捕りしたいよう。

 


 落ちてる岩くれを見たらグリーンタフ(緑色凝灰岩)。東北日本新生代の火山活動を象徴するものです。ああ石拾いしたいよう。今日はすべてガマンです。

 


 鳴子峡レストハウスの対岸の枯れ松の上に何か猛禽の巣があって、ヒナらしいのが羽ばたいているのに家人が気付きました。そこに望遠レンズを向けている御仁がいたので伺うと、ミサゴだそうです。ヒナは4羽。もう何年もこの巣を利用していて、マニア間では有名らしい。

 


 コンデジの画像では拡大してもこの程度。そういえば温泉街の手前の川面を飛んでいる成鳥を見ていました。

 


 はいはい。

 


 このあと鳴子ダムも見て

 


 おおおここでも彩雲。家人は大喜びです。いやこれは正確には彩雲ではなく「環水平アーク」という別の現象では、という私の見解は言わないでおきました。


 機嫌のいい家人は、温泉街で評判の和菓子屋(どこで仕入れるんだそんな情報)を覗きがてら散策したいと言います。アンタは別行動でいいと優しいことを言う。お言葉に甘えて、あの橋と河原を見に行きます。

 


 途中の踏切でやけに錆びたレールだなあと思ったら、昨年の災害の復旧がままならずこの陸羽東線の鳴子から先は不通のままなんだそうです。知らなかった。さて山の斜面の上の方にあるホテルから川へと一気に道を下り

 


 あの橋へ。いい風景だなあ。

 


 橋はリノリウム鉄板張り、炎熱で膨張して浮き上がってます。言い忘れたけどこの旅、山の上でも暑かった。いつもこうですかとホテルの駐車場係の方に聞いたらとんでもない、今年は異常ですと汗をぬぐいながら。ああ呪われよ温暖化。

 


 河原に降りる道はないようなので橋脚をするすると降りて河原へ。見つかったら怒られるかも知れませんが、そもそもこんな熱で歪んだ橋を渡る人がいません。石は安山岩、凝灰岩がほとんど、わずかに石英斑岩のようなのが混じります。あちこち歩いてわかったけど、日本の脊梁山地の大部分を構成する火山地帯は、実は石の探索をするにはあまり面白くありません。ここもまあ何か記念になるものが一つでもあればそれを土産代わりにしましょう。

 


 水は綺麗です。さすがに長靴は履いてこれなかったので靴を脱いで

 


 パン皿代わりの植木鉢皿でパンニングだあ。うひひええもん入るかなあ。

 


 案の定、という結果です。砂鉄と輝石がほとんど。まあ持ち帰りましょう。と、ここでやらかしました。私「足裏刺激」にものすごくヨワいんです。川底に立って水から上がろうとしたら、何という仕打ちか、足裏のいちばん敏感な部分に尖った小石からクリティカルな一撃を食らったのであります。うひゃあ とか変な声が出てバランスを崩し、そのまま背中からどっぽーん。

 


 濡れネズミいっちょう上がり。あああかっこ悪い。家人に知られたら橋げたを昇り降りしたことも含めて厳しくたしなめられるでしょう。どう体面を保つかと悩みましたが、炎暑の中ホテルに戻る道中でけっこう乾いてしまい、結果としてバレずに済みました。ビバ温暖化。

 

 三日目はくだんの和菓子屋でおみやげ買ったりソフトクリーム食べたり。

 


 この旅の行く先々でヤマユリが満開だったのも家人は喜んでくれました。

 

 

 帰りの車中、家人は帰りたくないとか現実に戻りたくないとか散々駄々をこねてました。まだ現役バリバリに働いている身、明日はもう仕事です。なんか講演とかするらしい。優秀な人なのですが私と対極にあるガチガチの現実主義者。その目にはリアルの光のみ宿り、日々次々と降りかかる生々しい案件と格闘しています。だからこういうガス抜きが必要。なんぼでも付き合いましょう。彩雲の護りで、今回も無事に帰宅したのでした。往復 680 キロ。

 

 

 家族を大切にします。優しい日々を守るため。今日という日を明日につなぐため。

 

 

 

 

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