ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

ざくろ沢の花とか〇〇シとか

 

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 内容がワンパターンなのであえて記事にしませんでしたが,9月に入ってからもざくろ沢に行ってます。


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 今のお道具


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 ザクっと取って


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 ふるいに入れて

 

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 石を除き


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 パンニング皿でガッシュガッシュと回して出来上がり


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 で赤いのが採れるんですけど


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 阿武隈山地でパンニングするのに難があるとすれば,やたら磁鉄鉱(砂鉄)や角閃石や,重い有色鉱物が多いこと。パンニングだけではざくろ石が集まりません。よその川のパンニングの様子を拝見すると,回すだけで皿の底が真っ赤になる川もあるようですね。羨ましい。


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 とにかく磁鉄鉱だけでも除こうと磁石を


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 砂鉄がこんなに。比重を考えると重さにして三分の一は砂鉄です。残った砂からからピンセットでざくろ石をつまみ上げる作業は,楽しい楽しいボクだけの時間。…… ええ,フツーじゃないのはわかってますよ。

 

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 沢を行く林道は秋の気配。この日はキンミズヒキが盛りでした。


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 ダイコンソウ。ホームセンターの野草売り場で鉢に収まっていて驚きました。なんでも売り物になるんだなあと。


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 ダイコンソウの実。花と言い実と言い,科が違うのにキンポウゲやキツネノボタンによく似てます。近似するのには意味があると思うのですがよくわからない。


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 ツルニンジン。五角形の実も好きです。


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 暗くてすいません,ミゾソバ


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    キバナアキギリ


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 メナモミ。服にねばりつく実が出来かけてます。

 

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 セイタカアワダチソウも侵入してますが,こんな湿潤で日当たり悪くて養分豊富な場所では分が悪い。多くの帰化植物は,日本本来の自然環境を苦手とします。


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 ユウガギク。このほんのりとした薄紫色をデジカメで表現するのは難しい。それではと露出を落とすとただの暗い写真になってしまうし。最近写真がとみに下手になったし。

 

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 暗い森に陽が射して,ミズヒキが浮かびます。


 お花ばかりじゃ退屈な人に,動物篇。ここから【閲覧注意】ですよー。

 

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 スズメバチの働きバチが死んでた。ひたすら外で働き,力尽き。お疲れ様でしたとねぎらいたい。


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 クルマバッタの夫婦。もうすぐバッタの季節が終わります。


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 今年はよく見るなあ,セスジスズメの幼虫。でよく見るとひと節ごとに眼状紋のデザインが違う。


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 ジョロウグモ…… の雌。秋に成熟して肥大します。

 

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 で雄たちは,雌の網の隅っこにじっとして口説くチャンスを狙ってます。一歩間違うとエサとして食われてしまう命がけの恋。それはそれで楽しそう。


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 あ,やっぱり出たマムシ。毒は強力で,単位量当たりの毒性はハブより上。でも小さくて臆病で,ふいに掴んだりしない限り怖くはありません。というか子供のころは怖いもの知らずで何匹も殺しちゃったなあ,マムシは何も悪くないのに。


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 ざくろ石は随分貯まりました。ああキレイ。


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 マイペースに過ごせる休日。まるで奇跡のような穏やかな日々を送れる幸運に感謝せずにはいられません。

 

 

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海風に吹かれて生きものやメノウを見る

 

 

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 毎年ストレスで体調を崩す9月です。責任ある仕事が降りかかって心身ガタガタ。そのたびに海岸歩いたり山歩いたり。休日にのんびり過ごしてバランスを取ります。


 さて今日は


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 砂浜海岸


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 玉石海岸


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 貝殻海岸


 …… が連続する,私がメノウ海岸と呼ぶ浜を歩いて,そこで見たものをご紹介しましょう。


 砂浜では海浜植物でまだ開花しているのがいくつか。ほとんどは以前の記事で触れたものです。

 

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 シロヨモギ


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 ネコノシタ


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 ハマニガナ


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 ミソハギ


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 海浜公園にいたヤマトマダラバッタがここにも。


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 照明塔の下にうずくまっていたのがクスサン。樟蚕と書きます。大きくて大人しい蛾です。幼虫のシラガタロウはいつぞやの記事で触れましたっけ。


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 ルリガイが打ち上げられていました。キレイでしょ。集めてみようかな…… なんて,いかんいかん。これ以上拾うもん増やしてどうする。ちなみにこの貝,海にぷかぷか浮かんで暮らすひょっこりひょうたん島みたいな巻貝。なんと猛毒クラゲのカツオノエボシを食べています。


 玉石海岸では,もちろんメノウを探します。


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 これは家に帰ってからの写真ですが,またこんなに拾ってしまいました。キレイな石を片っ端から手に取ってしまうもので。左から黒メノウ,珪化木と赤メノウ,上にビーチグラス,そして私がキレイと思った玉石。これでもガマンしたんですよ。

 

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 ただの黒い石と黒メノウの識別点は縞模様や晶洞,仏頭状構造,ガラス状へき開,赤や透明な部分。


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 以前,久慈川に運ばれたメノウが海底で黒化する,という根拠に乏しい推論を開陳させていただきましたが,石英の黒化は放射線の一種ガンマ線で起こるんだって。ただしそれだと,透明な水晶が煙水晶になるのにも億年単位の時間が必要だって。


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 億年! いやここは原発もあるからガンマ線源には事欠かない(あわわ)だろうけど,久慈川はせいぜい数万年の歴史しかないぞ。…… また根拠のない推論になるけど,ひょっとするとここの沖合には久慈川上流とは別のメノウ脈があるんだったりして。

 

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 赤メノウはそんなに拾えません。


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 珪化木もここでは希少です。


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 ビーチグラス…… そういえば以前,ビーチグラスを拾ってはネットで売りさばいてる女性がテレビで紹介されてました。どれひとつわしも…… なんて,そんな商才はありません。そもそも拾い集めたものを売っぱらうなんて,私にはできません。


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 玉石きれいだなあ。つい拾っちゃうんだよなあ。我ながらこの性癖は何とかしたいのですが。


 さて貝殻海岸。生物の遺骸が打ち上げられやすい潮のある海岸です。その海の生物相が判断できます。

 

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 アズマニシキ。


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 コケゴロモガキ。


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 キサゴ。砂地の巻貝です。食用。


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 バテイラ,これも食用。


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 ケアシホンヤドカリ,かな。


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 無数にカニ穴があります。穴の主は

 


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 たぶんこいつ,スナガニ。走り回ってます。砂浜最速の無脊椎動物


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 星?


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 いや,イトマキヒトデ。こいつがいるということは

 

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 ハマグリがいるってことです。正確には内湾性のハマグリではなく外洋性のチョウセンハマグリ。美味。驚いたのは,大洗より南にしか生息しないと思っていたのにずっと北のこの海岸にいたこと。温暖化って言葉は使いたくないけど。


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 いるわいるわ,稚貝が大量に。


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 これもハマグリの天敵,ツメタガイ。生きているハマグリの殻にぞりぞりとドリルで穴を開け,中をすすり取るというおぞましい捕食をします。

 

 

 

 

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 海水浴場の海岸で金属探知していた外人さん。空き缶を掘り当てるのがせいぜいとは思いますが,この人にはこの人の休日。

 


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 私には私の。またこうして宝物が増えていきます。

 

 

 

 潮風に吹かれて,いつも通りの私らしい休日でした。

 

 

 

 

 

↓ 海岸を歩いた記事です

潮騒を聞きながら日立の海岸を歩いたこと - ジノ。

渚にて - ジノ。

海辺のメノウは潮騒に色づく /久慈川の黒メノウ - ジノ。

 

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クチナシ枯れて夏の庭 オオスカシバ,ルリタテハその他

 

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 9月の頭,まだ夏が続く頃。


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 庭のクチナシ,そうあの私とオオスカシバの戦いの舞台となるあのクチナシの,主幹が枯れました。


 思えば亡くなった祖父が我が家に連れてきたのが半世紀以上前。たぶん元は普通のクチナシに種子のできない八重クチナシを接いだものだったと思います。しかしいつの間にか土台のクチナシが育って入れ替わってました。そしてずっと鉢植えのままいじけていたのが,9年前に庭に地植えにされてみるみる成長。毎年たくさんの芳香振りまく一重の花,そしてヒヨドリに狙われる美しく奇天烈な果実をつけるようになりました。


 オオスカシバに丸坊主にされたりカイガラムシに取り付かれたり,それなりに苦労はしているのですがとりあえず元気,のはずでした。その株の中心を形成していた主幹の2本が,春のころから葉が小さいなと思っていたらそのまま枯れたのです。原因がわからない。


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 枯れた幹が付いたままでは新しい枝が伸びないので,根元から切りました。


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 カミキリムシにやられた訳でもなく,やっぱり原因がわからないなあ。


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 あとから伸びたウメモドキにすっかり負けてます。枝を切ってできた空間もウメモドキに取られそう。しっかりしろ。


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 オオスカシバの幼虫の糞が大量に落ちてます。います。間違いなくヤツはいる。でもこの時は見つけられなかった。いるのに見えない。完璧な擬態のたまものです。私は「緑の忍者」と呼んでいます。昆虫の擬態を見破るのは私の専門のはずなのですが,オオスカシバに負けることが増えた。トシのせいか。ぐぬぬぬ。


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 クチナシの根元,通称「三角地帯」も夏の盛りに一切世話しなかったので,部外者が我が物顔に幅を利かせています。何よりこのコムラサキシキブ。鳥の落とし物から発芽しました。実がきれいなのでどうしようと思ううちにここまで繁茂。聞けばこいつ,地中にとんでもない面積の根を広げて他の者を弱らせてしまうとか。やはり異邦人はだめか。排除します。

 

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 哀れなのはこのマンリョウ。同じく鳥のモノから発芽したのですが最初から元気がなく,とうとう常緑のはずの葉が落ち始めました。日照不足か栄養不足か。仕方ないですね。


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 三角地帯さっぱり。来春にまたヘビイチゴに栄えてもらいましょう。


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 さて,昨年ルリタテハが現れたホトトギス。あるぞあるぞ食痕が。


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 こんな露骨に糞を食草上に残したら自分の位置を公言するようなものでしょう。わかってないなあキミたち。ボクはいつも緑の忍者オオオスカシバと戦っているのだよ。その程度の隠れ身で逃げられると思ったかい?


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 ほーらいた,ルリタテハの幼虫。トゲは見せかけね。まだ若齢で,被害も軽微です。でも放っておくと大事なホトトギスのつぼみまで食べてしまうことがわかっているので,今年は駆除します。去年はすでに成長し切っていたしチョウは好きだし,助けちゃったんだよなあ。助けたらその子孫が来ちゃったんだよなあ。守るべきものがあるなら情けは無用ってことか。


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 産み付けられた卵殻が残っていました。


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 さて庭のその他の状況。雑草どもは例によって大暴れ。コニシキソウ


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 ジャノヒゲに紛れる隠密同心,これはトキワハゼ。


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 単子葉のメヒシバが単子葉のジャノヒゲにまぎれる! 人にまぎれる吸血鬼みたいなものか。


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 雑草と言えば,これも強敵のカラスビシャクの葉が片っ端から食べられてます。はて?と思った私の足元を,尾角をぴょこたんぴょこたんさせながら

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セスジスズメの幼虫が駐車場横断。デカい。これから蛹化する終齢幼虫です。食草はサトイモ科。カラスビシャク食ったのこいつ。意外な協力者でした。


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 今年も,いや今年は一層強大にハマナスが繁茂,こんなに道にハミ出ました。この超絶美女を私はすでに持て余しています。誰か助けてください。


 父曰く,実の成らねえナスがあんだよ,と。いや父上,「親の小言となすびの花は,千に一つの無駄もない」と申します。成らないナスはナスじゃない。どれどれ。

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 人の背丈ほどの大株です。確かに左端はナスですが,はて真ん中から右は様子がおかしい。


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 これが正しいナスの花。


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 実に成ります。


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 で,右側の株の花。これナスじゃないぞ。誰だオマエ。


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 葉の表に鋭いトゲ,茎にもトゲ。ナスの形質ではありません。ちょっと調べてみたんだけどわからない。苗をホームセンターで買って植えたものなので,ひょっとすると苗の生産農家にはびこっていて知らずにナスとして出荷されているのかも知れない。それこそ,人にまぎれた吸血鬼かターミネーターです。正体が判明したらお知らせしますね。

 

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 クサボケが今年も豊作です。熟しきって強烈な芳香を振り撒いてます。収穫したいけど,去年作った薬酒も消費しきってないんだよなあ。


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 一日,庭に掛かりきり。明後日には台風が来るというので,急いで夏の後始末をしました。


 台風15号が千葉県に大災禍をもたらすのはこの2日後のことです。

 

 

 ↓ 関連リンクです

ハマナス退治 - ジノ。

オオスカシバとクチナシの受難【虫です】 - ジノ。

コニシキソウ,雑草という草はないけれど - ジノ。

オトギリソウと夏の庭 - ジノ。

ルリタテハ現る 【イモムシ毛虫GO!】 - ジノ。

 

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畑のお茶屋さんが期待通りだった件

 

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 天気予報のウソつき―。三連休大荒れとか言って大して降らなかったじゃんー。


 とりあえず悪い方の予想を言っとかねばならないお立場もわかりますがね。


 さしたる予定はなく,といって今さら遠出する気にもなれず。で思いついたのが,ちょっと久慈川見てみようかなっと。ええ久しぶりのメノウです。


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 ここは常陸大宮市常陸太田市(紛らわしくてごめんなさい)の境。地理院の地図には名前のない橋です。洪水の時には沈下するタイプの通称「地獄橋」。あとで聞いたら,実際この橋では事故が多いとか。


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 増水してますが水はキレイ。

 

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 目指すはあの河原。ああ,思ったより狭い。まず見た目で落第です。


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 このカナムグラの藪を越えろって? カナムグラをご存じない地方の方もおられるので説明しますが,全草トゲに覆われたどうしようもないつる草です。葉から茎から花まで,ことごとくトゲだらけ。素肌を出していたら血まみれになります。ううむジャングルブーツに履き替えねば。でも絶対に戦果が期待できない。費用対効果というのを真剣に考えながら堤防を歩いていたら


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 なんだこれ。 …… 畑のお茶屋

 

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 手作りの看板。何の飾りもない百姓家。荒れ放題の庭。明らかに古民家カフェとかとは次元の違うダメな雰囲気。するぞするぞヤバい匂いがぷんぷんと。


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 サービスの内容まで手に取るように予想できる危険案件です。ああ入りたい,怖いもの見たさで。

 

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 200円とか300円とかならドブに捨ててもいいか。そうだこの卵かけご飯に惹かれて入店したってことにしよう。


 まず庭にいた70代と思しき百姓ジイさん,その頭上に「農業CAP」としか表現できない帽子を載せ,足には長靴,そのまま野良仕事のできる中途半端で汚ない服装,間違いなくこいつだと狙いをつけたジイさんにやってますかと尋ねてみます。はいどうぞと答えて家の方においお客さんだぞと声を掛けるジイさん。ほらやっぱり。

 

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 で入店しようとするのですが,そこにあるのはただの百姓家。ほんとに普通の百姓家で,店舗入口が他にありそうで玄関から入るのに躊躇します。でもやっぱり玄関から入るのです。


 ガラガラと引き戸を開けたその中も見事に想像通り,いやその斜め上を行きます。土間に所狭しと並べられたしなびた野菜と卵,農具に靴その他生活用品。壁には地元の観光ポスターとかが脈絡なく貼られたりして。モノが置かれてなくて上がれる場所はそこしかないという一点から,靴を脱いでいよいよ突入。


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 囲炉裏がありますが… すいませんバアさんと呼ばせていただきます… 出てきたバアさんが今は暑いので焚いてませんと言い訳します。うん,暑さはともかく,もう少しまわりを片づけてお客さんが囲めるようにするといいよ。


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 そして上がったところが客間。畳に安物のカーペット,普通のテーブル,汚い座布団,神棚,訳わからない個人旅行の土産品,壁ぎわに雑然と積み上げられた生活用品。ああ,父の親戚の百姓家の中そのままだ,40年前の。


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 なんだろうこの,知らない一般人の家に上がり込んでしまったような居心地の悪さは。

 

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 唯一,テーブルに置かれたこのミツバアケビはきれいでした。でもやはり雑然とした調度品が写り込んでしまいます。


 お茶らしいものを運んできたバアさんが,これまた手作り感満載のメニューを差し出します。卵かけご飯,というとまだご飯が炊けてないからできないと。


 そうきたか。

 

 


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 仕方が無いので琵琶ジュース200円と磯部餅200円を注文。するとバアさん,メニューと差し換えで目の前にドンと置いてきたのがなんと「いだてん」の脚本。さっき私が歩いていた土手で,去年の7月に今年の大河ドラマ「いだてん」のロケが行われたとか。よっぽど自慢なんだか,バアさん聞きもしないのにロケの様子を語り始めます。いやバアさん,あの大河ドラマもうポシャってますから。


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 お茶とともに持ってきたウエットティッシュを開けて愕然。カラカラに乾いてます。おいバアさん,これコンビニで弁当買うとサービスで付いてきたやつだろ?しかも何か月も前の。なんかもう,こちらのメーター振り切れるほどに攻めてきてます。予想越えどころじゃありません。


 まず運ばれてきたのが琵琶ジュース。うちで採れたものです,と。原料費かかってないのか。飲んでみると確かにビワの味がするのですがとにかく薄い。ビワのあの濃密な味を期待したのですが,なんかもうどうでもよくなってきた。


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 意外なサービスが来ました。これもうちのものですが,と立派なイチジク。素材そのものなのでとりあえずは安心かな。 …… 問題はそれに添えられたもの。


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 さや付きの果物ナイフ! 1970年代までは見かけたぞ。使い終わったらそのままさやに戻しちゃう,衛生観念も何もないやつ。汚れ具合からして,本当にその時代からこの家で使っているものです。これを使えって?


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 まだ終わらない。ナイフと共に置かれたこの広告。 「ん?」 なんて思いっきり間抜けな声を上げてしまいました。バアさんすかさず「皮を入れるのに」


 折り紙の箱! え?え?え? これお客に出すの? 新聞広告を四角く切って,丹念に折って,畳んで,そんなイタいものを出すの? 1970年代までしか許されないと思うぞ,その行為。


 次から次へと繰り出される荒業にかなりダメージが蓄積してきました。逃げ出したい欲求がふつふつと沸き上がりますが,とにかくメインディッシュと対戦しなければ。


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 ついに来ました磯辺餅。保存してあった自家製の餅を無造作に焼き,醤油を垂らし,また無造作に海苔を巻いたもの。噛むと固い皮がバリバリと砕け,口の中に貼り付きます。我が家で焼く餅だってもう少し柔らかいぞ。本当に,何十年も前に田舎の家で出されたものそのままです。


 400円を払って,美味しかったですよー今度は卵かけご飯食べに来ますからねーと愛想よく脱出したのですが… 出がけに今度はジイさんのほうに捕まって「いだてん」のロケの話を聞かされたのですが… さてどうしよう。卵かけご飯,どんなのが出るか容易に想像が付きます。家族が使っていた茶碗,下手すると縁が欠けているようなのにご飯が盛られ,添えられた醤油瓶はこれまたこの家で何十年も使われたモノ,乾いた醤油がカピカピにこびりついていたり。本当に,一銭も元手をかけないサービスが提供されるでしょう。値段相応,アッパレと言っておきますが,…… 私はもういいや。

 


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 妙なパワーが身に付いたのは確かです。先ほどはあれほど躊躇したカナムグラの藪に,靴を履き替えてまで突入しちゃいました。河原に降り立って,しょぼいメノウ一つ拾って,この河原はオッケー。もう来ることはないでしょう。

 


 ジイさんバアさん,なんて呼び方してごめんね。こういうサービスを喜ぶ人は必ずいると思いますよ,どこかには。

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 イチジクは 美味しかったし。

 



 この世は驚きに満ち,明日という日もまた前人未到の秘境です。日々これ冒険。これだから人生は楽しい

 

 

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夜のとばりのカラスウリ

 

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 昨年の記事(真っ赤な秋のカラスウリ - ジノ。)で,カラスウリの花の写真が無い,来年撮ってここに貼り付けます,なんて書いたことを思い出した。いけねえ,約束は守らねば。


 まずは明るいうちにロケハン。昨年トリカブトの写真を撮ったあたりがいちばん家から近いかな。

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 夕方6時ではまだつぼみ。宵闇に咲く幽界の花です。


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 なんかヤバそうなのがいた。いかにも夜に蠢きます,みたいな。気を付けよう。


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 暗くなって出直すと,はい咲いてました。夏のころから咲いているので,早いのはもう実になってます。


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 カラスウリは雌雄異株。これは雄花。開きかけなのか雄花はこんなものなのか。


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 こちらは雌花。3つの柱頭が見えます。でも見かけ上の大きな特徴はこのレースのような花弁。こんなキテレツな形質,きっと意味があるはずですが私にはよくわからない。なぜこんな。


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 ツユムシが来ていた。花びらを食べているように見えるのですが…?


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 顔を覗かせているのはムカデ。花に来る虫を狙っているように見えます。確かに肉食だけど,待ち伏せなんて高度な芸当ができるのだろうか。私が多足類をナメてるだけか。それをマイマイが覗いているのもまた一興。

 

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 妖艶な姿でスズメガを誘います。口吻こうふんの長いスズメガしかこの花筒の奥にある蜜にありつけません。


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 海生の棘皮動物クモヒトデの仲間「テヅルモヅル」ってご存知ですか。5本の腕がさながらフラクタルのように分岐していて,それを漆黒の深海で大きく広げてエサを捕えます。実はこの花を見るたびにその姿を思い出すのです。何か妙な類似性があります。類似するには必ず訳があるはずです。


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 テヅルモヅルの写真は持っていないので,そのスジでは有名なエルンスト・ヘッケルのスケッチを。ヘッケルは生物学者・医師・哲学者・生物画家・ヴァンパイアハンターとして知られる人で,反復説を提唱した,系統樹を初めて作った,生態系という言葉を初めて使った,などなど功績あふれるスゴいひとです。神秘絵画とみなされる数々の図版はネットで見られますので,ぜひ。


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 カラスウリの花の寿命は数時間。夜のとばりの中で,人知れず咲き,人知れずしぼみます。知らない人は,きっと一生この不思議の花を見ずに終わるのでしょう。


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 しぼむときは普通きゅっと花弁を収納するのですが,この雄花は雨にでも打たれたのでしょうか,そのままの姿で朽ちていました。昼の世界に置き去られ,晒されているようです。

 

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 近縁にキカラスウリというのがあって,茨城では暖かい海岸沿いに分布しています。名の通り実が黄色い。「日本栝樓にほんかろう」の名で薬になります。でもカラスウリの方にはあまり薬効はありません。食用には,若い実は食えるという話もありますが絶対に不味い。いいとこありませんカラスウリ。でも私には,少なくとも私には,秋の赤い実だけで十分に存在意義があるのです。

 

 

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荒天のあと

 

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 今日2019年9月16日。珍しくリアルタイムの記事を書きます。


 一週間前の台風15号で千葉の方は大変だそうですね。私もBSアンテナを壊されるという大被害を受けたのは前の記事の通りです。

 え?千葉の苦難と一緒にするなって? いやそれなりにショックだったもので。

 


 昨日久しぶりに御岩神社に行ってきて,被害らしい被害がないのに安心しました。木の枝はだいぶ落ちたろうけど,すっかり片づけられて。


 そして今日,千葉はまた台風崩れの低気圧に襲われたようで,お気の毒です。こちらも朝から本降りの大雨でした。午前中は降り続くとか。
 晴れたら久しぶりにざくろ沢か久慈川に行きたいところでしたが,まあ水辺は自殺行為と正しく判断。いや私も台風が来たら用水路を見に行くくらいの男になりたいものですが,それやって死んだらほれ見たことかと家人に笑われるのがオチなので。


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 ジョイフル本田で買い物がてら雨が止むのを待っていたのですが,ようやく2時過ぎに小降りに。これはひたち海浜公園の観覧車。


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 海岸に出てみます。正面方向に低気圧があるはず。


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 海は大荒れ。これなら次の週末「メノウ海岸」に出ればたくさん拾えるんじゃないかな。期待しよう。


 台風で荒れたとあっては行きたい場所がもう一つ。そう,着生ランが落ちてる「への6号フィールド」です。ここから30キロ内陸です。海から山へ茨城ワインディングロードをGO!だぜ。

 


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 この落ちてる枝にカヤランやクモランが付いてます。…… ふつう一週間もあれば地元の人たちが片づけているのですが,今回は枝や葉が散乱したまま。人がいないのかなあ。まあ私には好都合ですが。


 あるわあるわ,哀れ落魄らくはくのランたちが次々と。

 

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 まずはクモラン。今回はカヤランより数が多い。本当にレッドリストなのか。しかもみな果実を付けてます。そうか繁殖の時期だったか。でも落ちてしまったのか。

 

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 カヤランもいっぱい。ただし小型個体ばかりです。


 ひたすら拾って助けてやろうとした時期もあったのですが,何をやっても落ちたものはみな死んでしまう運命と知ったのは前出の記事の通り。せめては車に踏まれぬよう傍らに寄せてやるのみです。


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 冬虫夏草ツクツクボウシタケ。ここにあるのを知ったのはつい最近でした。


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 空が晴れ上がります。明日は日本晴れでありましょう。

 

↓ 前出記事です

カヤランクモランへの6番 - ジノ。

行くぜ!への6号 - ジノ。

カヤランクモラン - ジノ。

 

 

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すべてを失った

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 すべてを失いました。 いえ,録り貯めたアニメのことなんですけど。


 9年間使ったT社のブルーレイレコーダーが,突然いっさいの反応を停止したんです。直前まで何の兆候もなかったのに。


 ハードディスクいっぱいに貯め込んでいた深夜アニメが雲散霧消してしまいました。再生も読み出しもできません。ついでにダビングを仕掛けて挿入したままだったBRディスクも取り出し不能です。

 


  まうー まうー

 


 久しぶりに「まう泣き」が出てしまいました。これで「魔法使いの嫁」も「宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」も,全話CMカットまでした後でこれはダマされたと気づき全話消去のタイミングを計っていた「荒野のコトブキ飛行隊」も,誰も期待しちゃいないと知りつつブログ記事にしてしまった「ダーリン・イン・ザ・フランキス」も「ACCA13区監察課」も,そして現在進行形だった「Dr. STONE」も「女子高生の無駄づかい」も「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿」も,すべて失ったんです。泣かずにおれようか。


 いいのよアンタは笑って。これは元・大学漫研会長のサガというか宿命なんです。見ずには,語らずにはいられないという。半世紀生きていようが変わりません。変われません。


 もちろんすぐに,ただの箱と化したレコーダーを購入したご近所のメガドンキホーテに持ち込みました。ドンキというと客層はヒョウ柄やら金髪やらの方の割合が多いのですが,働いている人はみなキチンとした人たちでいつも頭が下がります。快く修理に応じてくれました。修理の間も放送は進むので,お薦めのままにその場でP社の新型を買っちゃいました。反応は遅いわ操作性は悪いわ,9年前の機械に不満があったのでいい機会でもありました。


 で数日後,ドンキの「家電センター」というところから電話があって,T社では9年前の製品の部品を取り置いてなくて修理不能とやら。期待はしていなかったけどこれで確定です。T社が悪いんじゃないだろうけどもういいや,T社。


 悪いことは重なるもので,新型機の性能に感動するのもつかの間,台風15号がやってきました。うちには大きな被害もなくああよかったと思っていたら,BS放送が受信できなくなっていた。アンテナが。あああアンテナが。


 現在,上記の番組を録画はおろか視聴すらできない状態です。もちろん見るだけならネットで出来ることは知ってますが,ポカーンとしています。生命や財産にかかわらない,ただ貯め込んだものや惰性で行っていたことがすべて無くなる。妙に平穏な気持ちです。断捨離ってこういうことでしょうか。

 

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 その昔,軍縮条約の結果新しい軍艦の建造ができなくなった時期がありました。「海軍の休日」と言われてます。その間,各国の海軍は訓練や研究に落ち着いて取り組むことができて,まあ良くも悪くも次の大戦に備えることができました。


 そんなふうに,前向きに考えよう。

 

 

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