立春を過ぎました。旧暦でいうとまだ12月なのですが,風も冷たいし水戸に雪が降るのはこれからなのですが,それでも春の始まりなのです。陽射しが暖かくて,完全防寒装備だと日なたでは汗ばみます。よく考えたら冬至から40日以上過ぎていたんですね。
で,今回も休日活動報告です。世の中が大変だというのに,わが身の代り映えのなさに呆れます。今日は私のルーティンの一つ,おなじみ大子方面の沢歩きをしてきました。
季節ごよみ「七十二候」の一月末が「沢の水凍る」なので覚悟して沢に下りると,澄んだ水が流れてました。おやおや,と帰宅後に調べたら二月初めが年の第一候「東風こち氷を解く」なのでした。あっという間に季節が移ろいます。
メノウもありましたがもうあまり拾いません。
ここ登れそう,とか思ったり。やめなさいってば,と理性が押さえます。気だけは若いんだから。
ゴミが。このゴミに関しては思うところがあったのであとで別記事にしようと思います。
別の沢への移動中に目撃。大子駅前のC12がえらいことになっていた。
こちらの沢ではパンニング。ざくろ石を狙ったのですが採れませんでした。
暗い沢の中にお茶の木,植物名「チャ」が一本。外界は春の陽気ですがここは谷筋を冷たい風が吹き下ろし,ひどく寒い場所です。大子は植生としては冷温帯の夏緑樹林帯で,お茶の栽培が盛んですが実はチャは暖温帯の木。大子はお茶の商業栽培の北限です。その茶畑から何かの拍子に種子が運ばれて根付いたのでしょうが,ぎりぎりの生存限界のはず。生き抜いてほしいとは思うのですが。
その葉の表面にはこれまた熱帯起源のカビゴケが着生してました。たしか福島県が北限です。ぎりぎりに生きる者がまた一つ。
沢沿いにはアブラチャンの花芽が春を待ってました。クスノキ科の植物で,川沿いに咲き競う黄色い花は山峡の春を告げます。春よ来い。
沢を出るとモアっと暖気に包まれました。この茨城最北の町にもやがて春の花が次々と咲き継ぐ季節が来るのでしょう。その先駆けがこれオオイヌノフグリ。ヨーロッパ原産ですが,日本の野生植物に競合するものがないこともあってすっかり定着しましたね。いや本当に,愛らしい春の花です。
これで今日のフィールドはおしまいだったのですが,実は帰路に本日最大の戦果が。
水戸に向かう国道118号で常陸大宮のBOOK-OFFの看板を見て,探しているコミックがあることを思い出しました。黒ずくめの男がすべての棚の隅から隅まで一歩ずつ足をずらしながら見ていくのはさぞや怪しかったろうと思います。結局見つからずそのまま店を出ようとしたら,入り口のお勧め本コーナーにどえらいお宝が。
プランクトン図鑑です。実はこれ,以前に研修で使わせてもらって以来ずっと欲しかったものです。プランクトン図鑑というと古い保育社のブ厚くて白黒の愛敬のカケラもないのしか持ってなかったので。
こういうの,一日読んでても飽きません。特にこの本は滋賀県の学校の先生たちが,つまり現場の人たちが現場で使ってもらうために編みあげた名著です。面白くないわけがない。2005年初版発行という少し古い本なのですが,おかげで「藍藻」とか「原生動物」とか,現場を知らない分類学者どもが系統樹をめちゃくちゃにする過程で消滅させた分類名が使われていて,私には嬉しい限りです。
この本,2008年には同じ内容の「普及版」が出たので,購入されたのは2005年から2008年の間と思われます。いったいどんな人が買って,読み,使い,そして誰がブックオフに売ったのか。そんな想像をする楽しみまで買うことができて,今日も外界は私にとって発見のワンダーランドなのでした。