先の初崎海岸の記事と時制は前後しますが,この11月はざくろ沢にも行きました。地元でのパンニングは久しぶりでした。目標はラミエルもとい磁鉄鉱結晶です。
最近の茨城県内の林道はゲートで塞がれてます。夜中に首都圏からゴミの不法投棄トラックが来るもので。ざくろ沢もご多分に漏れず遮断されてますが,徒歩ならゲートの脇を抜けられます。管理者はそれも好まぬようで大きな石が置いてあって,それを乗り越えて入ります。今日はその上に一頭のハナムグリがかそけき秋の陽に憩っておりました。そっとよけて入ります。
旅するチョウ,アサギマダラです。とっくに南の国に飛び去ったと思いきや,たまに秋遅く取り残されたように林道を舞っているのを見かけます。盛んにコウヤボウキの花蜜を求めてます。
傍らにはシラヤマギクがこれを盛りと咲いているのですが見向きもされません。こんなチョウにも我々には計り知れぬ嗜好があるようです。それをシラヤマギクがどう思うのか,これもまた計り知れません。
久しぶり,6月以来のざくろ沢「ポイントC」です。水量も減ってパンニングには好条件。
しばらくパン皿を回すうちにカンも戻り,赤いざくろ石と正八面体の磁鉄鉱が入ってきます。正直を申せば筑波や大子のざくろ石の見事な結晶形を見慣れてしまって,ここのざくろ石の丸いだけの他形結晶に感動しません。今日の主目的は磁鉄鉱。この1年あちこちでパンニングをしてわかったのは,砂鉄はどこでも普通に出てきますが,この「ラミエル型笑」結晶はざくろ沢でしか出ませんでした。しかも何地点かあるうちのここポイントCだけ。さらに言うならほんの数メートルの範囲だけです。母岩があるのでしょうが今に至るまで見出せません。
見上げる空は天の川のように一直線。ざくろ沢は細いV字谷で,この季節谷底に太陽は午後の一瞬しか射しません。不思議な別世界にいるようです。
沢の林道の帰り道,いくつかのグループの人たちにお会いしました。他県から来たとか。最近ここが何かに紹介されて人気になっているとのこと。それはいいことかも知れませんが,このテの都会から来る人たちが農家の土地に傍若無人に駐車したりしてこちらもとばっちりを食うことがあります。1台2台ならまだしも5台とかで現地を荒らします。なんで山中でも団体行動したがるんだろう。私はこういう流行モノにすぐ手を出す!団体行動しかしない!平気で現地に迷惑をかける!という人たちが好きになれません。こういう方々が経済を回しているんですけどね。
心配していた通り,石の上で日向ぼっこしていたあのハナムグリは踏みつぶされていました。互いのウエアのブランドは気になっても,足元の虫一匹の命に気づかない。四,五十代の方々とお見受けしましたが,その歳になっても自分の価値観を構築できないまま「仲間」とひたすらトレンドを追い続ける。都会には多いんでしょうね,このタイプ。
哀れやなハナムグリ,あたら屍を晒すか,こんな場所で。落ち葉を掘って埋めてやりました。虫一匹に,いや虫一匹だからこそ熱くなってごめんなさい。ざくろ石と磁鉄鉱のお話でした。
持ち帰った砂を
まず磁石で選り分けます。鉄分の多いことったら。
不覚にも愛用のピンセットを磁石の上に落とし磁化させるという大失態を演じたのですがケガの功名,切っ先をピッと磁鉄鉱に向けるだけでカチンと吸い付いてきます。わあ魔法みたい。
数日かけて選別終了。
ざくろ石も
磁鉄鉱も
とりあえずラミエル襲来!の絵は撮っておこう。
母岩のかけらを見つけました。はまってます。次回こそは文句なしの母岩を見つけてやります。
なんで同じ場所に同じものを採りに行き続けるのだろう。それはたぶん私の自然観であり「私」というものを確認するための作業だと思っているのですが,そのあたりはまたいずれ稿を改めて。それでは。
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