精緻なる造形,妙なる美。同形の反復と,無二なる形象。
接写(マクロ)撮影が大好きです。肉眼で見えない光景があるから。拡大して初めて存在が知れるものがあるから。
今回の写真,上の真四角に成型したヤブヘビイチゴ以外,すべて撮ったままのトリミングなしです。こんだけ拡大できるんだというとこ見てください。
まずは小手調べ。ズームレンズのマクロ機能を用いたレベル。ルピナスの花穂,キレイですねえ。オートフォーカスが効くと楽だなあ。園芸植物の花を撮るならこれで十分です。
でも私は細やかな野生植物の花を撮りたい。虫も撮りたい。となると「等倍撮影」のできる専門のマクロレンズの出番となります。私が使うのは23年前に購入したタムロンの90ミリマクロ。以後,カメラ本体は買い替えながらもずっとこの名玉を愛用しています。ピントは手動,手振れ補正なし。三脚必須の不便さが好き。気合入れて撮るぞーという時には重い三脚を担いで野山を駆け巡ります。
ネギ坊主に来たハナアブ。この程度なら楽勝。
以前にもお見せしたサクラスミレのつぼみ。モニターに映して初めてツマグロヒョウモンの一齢幼虫が付いていたことに気づきました。どこだかわかる?
園芸植物の花なら十分に普段と違った姿が撮れます。
「等倍撮影」というのは幅35ミリの範囲がぴったりフレームに収まる倍率のこと。かつての写真フィルムの幅から来ています。実物と同じ大きさでフィルムに写るから「等倍」ね。肉眼でぐぐっと寄ったときの感覚に近いのですが,いざ写してみると結構な倍率で,これだけでも目視で気づかなかったものが写り込みます。
ちなみに今は,90ミリマクロを撮像素子(フィルムに相当)が小型のNEX5に装着しているので,実質135ミリ相当になり倍率は1.5倍に。トリミングなしでこんな感じ。
そして外付けのコンバージョンレンズと2倍のテレコンバーターでここまで行けちゃいます。
高倍率のズームレンズとの組み合わせでは…… もうこれは顕微鏡画像ですね。さすがに野外で実用的な倍率ではありません。
さあではジノさん本気の超拡大映像,見てください。
まずはざくろ石。これは結晶形が残っているやつ。倍率は4倍ほど。
色のキレイなの。1.5倍。
4倍近く。
8倍近く。
以前ご紹介したアサマイチモンジの卵。庭のスイカズラに産み付けられたチョウの卵です。直径0.9ミリ。
庭のパンジーに産み付けられたツマグロヒョウモンの卵。昆虫の卵はまかせて。
小型のアリもオッケー。おなじみアミメアリ。
キイロシリアゲアリ。アリマキのお世話をしています。… とにかくこの手の小型アリの顔が見えるのが楽しくて。
コケの砲子のう。
同じくコケを写そうとしたら偶然マルトビムシがフレームに。左手前の葉の横にいるのわかりますか? 体長1ミリ以下だと思います。
ハダニ。キンカンに付いていたやつ。肉眼では赤い点にしか見えませんでした。
庭にいた全長7ミリほどのゾウムシの顔。
我が書斎に侵入してアルコール漬けにされたアカイエカ。前にもお見せしたような。
ゼニゴケの無性芽。
次はお札,千円札。え?お札を撮影したら犯罪でしょ?とご心配なさるかもしれませんが,刑法では「(ニセ札)行使の目的で」「その未遂」でのコピー行為を罰することになっています。その判断の基準は「紛らわしい」と判断されることだそうで,まさかこれがそう判断されることはないでしょう。続けます。
お札の表面にあるカタカナ「ニ,ホ,ン」。テレビ番組で紹介されたこともあるのでご存じの方もおられるでしょう。これも「透かし」同様偽造防止のためと思われます。若い人なら肉眼で見えるそうですが,私は無理です。
同じく千円札の細文字。肉眼だと線に見えますが拡大するとこの通り。すごい印刷技術ですねえ。
今これを打っているモニター画面の白いところ。白は白じゃないんです。
印刷物の,おネエちゃんの顔の一部。
こんな点の集まりが写真になっちゃうんだから。
どうです。接写,面白いでしょ? 「写メ」を写真だと思っている人にはまず写せない,極限の世界です。へへーんだ。
実は90ミリマクロとともに20年来使ってきた外付けコンバージョンレンズが壊れてしまい,注文した新品が届いたので記事にしてしまいました。こういう肉眼とは別の「目」を持てることが何より楽しいのです。また何か面白いものが撮れたら記事にしますね。
↓ 過去の接写ネタです。見てやってください。
クロナガアリは春に引きこもる 【蟻どアップ注意】 - ジノ。
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