ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

ざくろ沢11月,ラミエル型磁鉄鉱

 

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 先の初崎海岸の記事と時制は前後しますが,この11月はざくろ沢にも行きました。地元でのパンニングは久しぶりでした。目標はラミエルもとい磁鉄鉱結晶です。

 

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 最近の茨城県内の林道はゲートで塞がれてます。夜中に首都圏からゴミの不法投棄トラックが来るもので。ざくろ沢もご多分に漏れず遮断されてますが,徒歩ならゲートの脇を抜けられます。管理者はそれも好まぬようで大きな石が置いてあって,それを乗り越えて入ります。今日はその上に一頭のハナムグリがかそけき秋の陽に憩っておりました。そっとよけて入ります。

 

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 旅するチョウ,アサギマダラです。とっくに南の国に飛び去ったと思いきや,たまに秋遅く取り残されたように林道を舞っているのを見かけます。盛んにコウヤボウキの花蜜を求めてます。

 

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 傍らにはシラヤマギクがこれを盛りと咲いているのですが見向きもされません。こんなチョウにも我々には計り知れぬ嗜好があるようです。それをシラヤマギクがどう思うのか,これもまた計り知れません。

 

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 久しぶり,6月以来のざくろ沢「ポイントC」です。水量も減ってパンニングには好条件。

 

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 しばらくパン皿を回すうちにカンも戻り,赤いざくろ石と正八面体の磁鉄鉱が入ってきます。正直を申せば筑波や大子のざくろ石の見事な結晶形を見慣れてしまって,ここのざくろ石の丸いだけの他形結晶に感動しません。今日の主目的は磁鉄鉱。この1年あちこちでパンニングをしてわかったのは,砂鉄はどこでも普通に出てきますが,この「ラミエル」結晶はざくろ沢でしか出ませんでした。しかも何地点かあるうちのここポイントCだけ。さらに言うならほんの数メートルの範囲だけです。母岩があるのでしょうが今に至るまで見出せません。

 

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 見上げる空は天の川のように一直線。ざくろ沢は細いV字谷で,この季節谷底に太陽は午後の一瞬しか射しません。不思議な別世界にいるようです。

 

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 沢の林道の帰り道,いくつかのグループの人たちにお会いしました。他県から来たとか。最近ここが何かに紹介されて人気になっているとのこと。それはいいことかも知れませんが,このテの都会から来る人たちが農家の土地に傍若無人に駐車したりしてこちらもとばっちりを食うことがあります。1台2台ならまだしも5台とかで現地を荒らします。なんで山中でも団体行動したがるんだろう。私はこういう流行モノにすぐ手を出す!団体行動しかしない!平気で現地に迷惑をかける!という人たちが好きになれません。こういう方々が経済を回しているんですけどね。

 

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 心配していた通り,石の上で日向ぼっこしていたあのハナムグリは踏みつぶされていました。互いのウエアのブランドは気になっても,足元の虫一匹の命に気づかない。四,五十代の方々とお見受けしましたが,その歳になっても自分の価値観を構築できないまま「仲間」とひたすらトレンドを追い続ける。都会には多いんでしょうね,このタイプ。

 哀れやなハナムグリ,あたら屍を晒すか,こんな場所で。落ち葉を掘って埋めてやりました。虫一匹に,いや虫一匹だからこそ熱くなってごめんなさい。ざくろ石と磁鉄鉱のお話でした。

 

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 持ち帰った砂を

 

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 まず磁石で選り分けます。鉄分の多いことったら。

 

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 不覚にも愛用のピンセットを磁石の上に落とし磁化させるという大失態を演じたのですがケガの功名,切っ先をピッと磁鉄鉱に向けるだけでカチンと吸い付いてきます。わあ魔法みたい。

 

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 数日かけて選別終了。

 

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 ざくろ石も

 

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 磁鉄鉱

 

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 とりあえずラミエル襲来!の絵は撮っておこう。

 

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 母岩のかけらを見つけました。はまってます。次回こそは文句なしの母岩を見つけてやります。

 


 なんで同じ場所に同じものを採りに行き続けるのだろう。それはたぶん私の自然観であり「私」というものを確認するための作業だと思っているのですが,そのあたりはまたいずれ稿を改めて。それでは。

 

 

 

 

磁鉄鉱関連。

パンニング,ざくろ石と磁鉄鉱 - ジノ。

結晶の森 - ジノ。

結晶ざんまい - ジノ。

 

 

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初崎海岸のシーグラスがちょっと大変

 

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 ピンセットで砂粒をつまむのがとても精神安定によろしいという困った事実に気づいてしまったジノさんです。先日までざくろ沢の砂をつまんでいたのですが終えてしまい,次のネタが欲しくなったので初崎海岸の砂を仕入れに行きました。ちょうど大潮です。

 

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 朝の潮に合わせて行ったのですが…… うわあ。

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 土曜の朝9時前ですよ。なんでこんなに人がいるんだ。


 なんでってこたあないのです。「シーグラス 茨城」でBing検索すれば私の初崎海岸の記事が第一面でヒットします。責任の一端は私です。これは困った。


 シーグラス拾いがこんなにブームなのでしょうか。誰にも迷惑かけないしマスクもいらない,海風を浴び潮騒を聞きながらの宝探しです。楽しくないわけがない。しかしこの狭い海岸に人が押し寄せるとなると問題です。誰にも迷惑をと書いたけど,かなりの方々が実は路上駐車をしてらっしゃいます。何より,需要に供給が追いつかないようですっかりシーグラスがなくなってしまいました。昔は波打ち際が青や茶色のガラスできらきらしてたのに。


 ねえ皆さん,県北の海岸だったらどこでも拾えますよー。みんなで押し寄せちゃ,そりゃあ浜の真砂もなくなりますぜー。


 シーグラスを拾っていたお姉さんに聞いたら,ネットを見てきたとのこと。ああやっぱり。しかもあまり大きいのは拾えてないご様子。私のせいかもしれませんと謝罪したら,そのおかげで私は来れたんですと慰めていただきました。


 これは難しい問題です。場所をネットに晒すということ。私の場合久慈川メノウと初崎のシーグラス,どちらも人が押し寄せる結果を招いてしまいました。私自身何かを探しに行くときはネットで場所を特定してから出かけますし,それで助けられてもいるので一つの恩返しのつもりではあります。初崎海岸の場合はプロの間では既知であった高温石英が主目的で,あらシーグラスも素敵くらいの話でした。そっちで盛り上がるか。とかくこの世は想定外のことばかりです。

 

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 ただ一つブレないことが言えるとすれば。天地に隠れた宝物を探し自然の中に美しいものを求める,そんな趣味趣向を持つ人が私は大好きです。同じ魂を持つ同胞はらからです。心から応援したいと思ってます。どうかジノ。をこれからもよろしくお願いいたします。

 


↓ 高温石英とシーグラスをここから時間をかけて取り出していこうと思ってます。楽しみです。

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↓ 2023年1月現在、初崎海岸が大変なことになっていましたが

悪魔は夜に毒麦を蒔く - ジノ。

↓ 復活しました。

復活、初崎海岸 - ジノ。

 

↓ シーグラス関連です。

この砂はみんな水晶だ/初崎海岸の高温石英について - ジノ。

銀の星の光る浜 - ジノ。

シーグラス(ビーチグラス)を拾う話 - ジノ。

高温石英で高校生を鵜飼いする - ジノ。

 

 

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百里神社の御朱印は少し悲しく

 

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 社寺の「御朱印」を集めて歩くような真似をしたことはありません。それが流行りというだけでぞっとします。でも神社をお参りすることは大好きです。何かいわれのあるような神社なら尚更に。


 人からF-4ファントムの写真集を借りました。いよいよこの12月で退役です。百里基地を最後に,半世紀にわたって日本を守り続けた戦闘機が姿を消します。写真集はその百里で撮られた写真を中心に,ファントムの50年を回顧するものです。その中で紹介してあったのが


 百里神社。


 百里が海軍航空隊の基地だった時から存在しているそうです。搭乗員をはじめとする基地関係者が空の無事を祈って建立したものとか。これは行かねばなるまい。

 

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 水戸の自宅から一般道で40分,百里基地のすぐそばでした。

 

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 え。

 

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 なんだか思ってたんとちゃう。

 

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 神々しい深い樹叢とまでは言いませんが,この竹藪を切り開いただけという立地は少しショックです。社務所も何もありません。

 

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 コンクリート打ちっぱなしの四角い社殿。ツタまで這っている。こんな神社初めて見た。

 

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 棟飾りは落ち

 

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 屋根が崩れかけています。

 

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 氏子もなく戦後荒廃に任せていたものを近傍の神社がお助けしようとしているらしい。ああこういう話に弱いんです私。

 

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 車で10分。これがその奉賛募金を受け付けてくれるという素鵞そが神社。百里基地の玄関口である旧小川町の街中にあります。あの百里神社を見た後なので,立派な造りなのにほっとしました。

 

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 本殿。

 

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 紋はなんと織田信長と同じ木瓜の織田瓜。

 

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 ご祭神はスサノオの命…… って,なにもアニメキャラにしなくても。

 

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 境内にはお妃のクシナダ姫のお社もあります。しっかり櫛の彫刻があったり。

 

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 立派なご神木があって,何の木かと思ったらケンポナシでした。木じたいは珍しい種類ではありませんが,ご神木は初めて見ます。

 

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 裏には見事な樹叢があります。樹種はエノキ,ムクノキ,ケヤキ,そしてシラカシ

 

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 境内の紅葉がキレイでした。

 

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 一口だけご奉賛させて頂いたら御朱印帖がもらえてしまいました。

 

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   裏表紙。

 

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  これが御朱印。見事にファントムづくし。

 

 

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 以前に笠間の佐志能神社にお参りした時もああお気の毒な神さまってあるんだなあと思いました。百里神社が立派なお社になり,たくさんの人で賑わう日が来ることをお祈りいたします。

 

 

 

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 おまけ:素鵞神社の向かいが公民館でさらに幼稚園らしきも併設。そこにある遊具がなんと飛行機を模してます。さすが百里基地門前町

 

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 寄ってみたら…… ああ,閉園しているようです。草ぼうぼう。

 

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 垂直尾翼が二枚!

 

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 操縦桿や座席まで。この幼稚園に入園したかったなあ。

 

 

 

 

百里基地関連。

百里基地航空祭2018 さよならファントム - ジノ。

百里基地航空祭2016 がんばれファントム - ジノ。

百里基地でヘリに体験搭乗・真 - ジノ。

百里基地でヘリに体験搭乗 - ジノ。

↓ ことほぐ神さま,すたれる神さま。右上のカテゴリー「御岩神社」もどうぞ。

佐白山というミステリースポット - ジノ。

鷲子山上神社/なじみの場所が次々とパワースポットになっていく現状を受け入れようと思う - ジノ。

 

 

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雄国沼,雪の峠を越えて

 

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 本当は裏磐梯から白布峠を越えて天元台へ抜け,そこから西吾妻山を極めるつもりでした。それはかつてヒマラヤを越えたシトロエン探検隊のように遠い空を目指す道のりになっていたはずです,私にとってはね。


 ところが峠越えの道路はすでに冬季閉鎖。あうう。つくづく東北をナメてたなあ。たぶん雪が降ったのは神さまの配慮だったのでしょう,やめとけと。


 別案として考えていたのは雄国沼です。ニッコウキスゲの群落で知られますがこの季節はなにもない。私が見たいのは地形。沼の名ばかりが有名ですけど地形図で見れば一目瞭然,ここはカルデラなんです。磐梯山のすぐ隣にすっかり山体崩壊した古い火山,磐梯山とマグマだまりを共有してるんじゃないか,とすると磐梯山のお兄さんということになるのか,これを猫魔火山と言います。いろいろツっこみたい名です。そのカルデラの中,雄国沼のほとりに立ってみたいと以前から思っていたのです。いいんです理解してもらえなくても。


 さてしかし困った。外輪山を越えて雄国沼に行く道路はあるのですが,たぶんこの雪では封鎖でしょう。それに雄国沼への入り口は今いる高原の反対側,会津側です。大回りになります。うむ,と宿の布団の上で胡坐をかいて道の駅でもらった観光地図を見ていたら,雄国山登山口というのがこちら側にあるのを見つけました。駐車場もあるようです。外輪山を登って雄国沼に至るトレッキング道です。空を目指し峠のかなたへと至る。これだ。

 

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 はいやってきました登山口。雄子沢と言うそうな。昨日うんこ踏んだばかりなのでリアルなご注意です。もちろん熊鈴鳴らしながら行きます。

 

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 駐車場の周囲はカラマツの林でしたが登り始めるとすぐにブナの森になりました。そこにミズナラが混じります。絵に描いたような温帯樹林。

 

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 雪が降ったのは一昨日の晩でしょうけど,もうこんなに踏み跡が。多くの人が訪れる,きっと安全な道なのでしょう。

 

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 やがて至る厳冬期,ここは数メートルの雪に閉ざされます。なのに林床が想像以上に緑なのに驚きます。タチツボスミレ,ツルアリドオシ,カンスゲ,ヒメアオキ,などなど。雪の下でも緑を保ち,来る春を待つのでしょう。なんという忍耐,讃すべし生命。

 

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 登り始めて1時間弱,空が近くなり

 

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 峠に出ました。周囲の木々が急に低くなります。

 

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 これが今日の最高点。

 

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 雄国山に至る道と分かれて

 

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 雄国沼を見下ろす休憩舎に到着です。この山上に立派な建物です。

 

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 はいはい。

 

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 湖面が光ってます。沼まではすぐ。

 

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 わああ。

 

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 いえい。本日会心の一枚。

 

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 沼のほとりに漆黒の砂。磁鉄鉱つまり砂鉄です。鉄が豊富なんだ。

 

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 これが雄国沼か。

 

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 足元に大きなどんぐりがもう発芽しています。リスが持ち込んだのかと思いきや

 

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 周囲の低木がミズナラで,それがびっしりとどんぐりを付けてます。ミズナラはあまりどんぐりを生らすイメージがないのですが,ここの過酷な環境ではとにかく子孫を残そうとしています。どんぐりもすぐに発芽する。植物にだって必死になることはあるんです。ちなみに八溝山頂と10メートルほどしか違わない標高ですが,範囲の広さ,強風,豪雪…… 過酷さの度合いが違うのでしょう。


 ミズナラ以外でも,沼の周囲は矮小化したカエデやヤナギの類が優占しています。

 

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 アキグミの実。

 

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 ツルウメモドキ

 

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 ツリバナの実でしょうか。雪の中で鮮やかに。誰です,日の丸弁当って言ってるのは。

 

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 枝にも残ってました。

 

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 ヒカゲノカズラ古生代に大森林をつくった巨大シダ植物の生き残りと言われてます。この過酷な環境でこれも緑をまとったまま冬に挑みます。

 

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 冬キノコ。雪を溶かして立ち上がってました。どこにそんな力があるんだ。

 

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 ミヤマシキミの類です。

 

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 一番驚かされたのはこいつ。この雪の中で笹の葉を食んでました。ヨシカレハという蛾の幼虫と思しきこのささやかな毛虫は,この後雪に閉ざされた中でも日々の暮らしを続けるのでしょうか。ああ尊いかな生命。

 

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 ニッコウキスゲの咲く湿生植物群落は対岸です。木道が見える。車が上がれないので誰もいません。というか好き好んでこんな枯れ果てた風景を見に来る人はいないでしょう,私以外に。これは人の世が終わったあとの風景です。

 

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 たぶん駐車場に付属する展望台。

 

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 山の上にお社。いつかお参りしましょう。

 

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 稜線を外輪山の一つ雄国山に登っていく人達がいます。ここに来る途中で道を譲ってくれた方々です。どうかご無事で。

 

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 静にして聖なり。ヒトの生まれる前の世界とはこんなものだったのでありましょう。山上の静謐をたっぷり堪能しました。私はたぶん,人気の山にアリ塚のアリみたいに群がるのを好む方々とは会話が成立しない人間です。

 

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 下る途中で気づきました。ここには笹がある。日本全国でシカが増えて森林を食い荒らしています。笹は真っ先に食われてどこでも森の林床は風が吹き渡っています。ここにはシカがいない。だから笹がある。豪雪のせいでしょうか。まだ日本にこんな場所があったのか。

 

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 雪を除ければ柔らかな緑の毛氈が広がります。美しい森だと思います。熊いるけど。

 

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 ヤマブドウが落ちてました。

 

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 冬キノコの代表エノキダケ。これが天然の姿です。これもまた冬に生きるものです。

 

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 驚いた。カナヘビの子ども。雪の中をちょろちょろと駆け回ってました。変温動物… だよねえ。爬虫類に対する認識を改めねばなりません。


 で無事に下山できたのですが,車が

 

 

 

 

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 ぎゃああああっっ


 カラマツの落葉期でありました。この針のような葉が佇めば頭上に降りかかり,ドアを開ければ吹き込み,あらゆる隙間に入り込み,継ぎ目に刺さり,布地に張り付き,靴底に同化して,愛車は茶色のヤリブスマ状態でした。帰ったら大掃除せねば。それでもどこかには残り,すっかり忘れたころに服に刺さってきて驚くことになるでしょう。

 

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 ああっうっとおしい。

 

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 せっかくなので猫魔火山の安山岩の沢でもパンニングしました。

 

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 大量の砂鉄,大きな普通石英のかけら,あとは目ぼしいものはなし。でもこれが自分にとってのお土産です。

 

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 宿に戻って露天風呂。いい一日でした。

 

 

 

↓ シリーズ「冬に生きる」 

冬に命をつなぐもの - ジノ。

ヒガンバナのマイペースライフ/「冬植物」の平和な日々 - ジノ。

クロナガアリは春に引きこもる 【蟻どアップ注意】 - ジノ。

ゼフィルスの卵 - ジノ。

 

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払暁磐梯山

【払暁】ふつぎょう もう少しで夜が明けきろうとする頃

 

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 磐梯旅行2日目。5時に起きて,昨夕に通りがかった磐梯山のビューポイントに行きました。フロントガラスが氷結していて,溶けるのを待つ時間のもどかしいったら。


 鏡のような湖面に映る霊峰の姿を期待したのですが,ワカサギ釣りの舟が行き交って湖面が落ち着きません。それは諦めました。


 檜原湖の湖畔まで下りて極寒の中30分,明けゆく払暁の空と磐梯山を撮り続けました。

 

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 刻々と変化する光と過ぎ行く時間を私と共有していただきました。今回はこれだけ。


 フランスの画家モネは時間とともに移りゆく光と影を追い続けた人でした。代表作「睡蓮」は何十枚もあることをご存じでしたか。画家は十年以上をかけて日を変え刻限を変えて同じモチーフに挑み続けました。そんな大画家に対して不遜の極みとは思いますが,私にはその気持ちがわかるような気がします。

 

 

 

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旅立って熊のうんこを踏んだこと

 

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 2日続けてずっと頭の中にももクロの「労働賛歌」が鳴り響いています。イヤーワーム,またはディラン効果という現象です。ごていねいにコール付きで,ももクロ働こ!働こ!と歌うたびに野太い声でオイ!オイ!と合いの手が入ります。かなり重症です。働きすぎに違いない。旅に出なければ。


 で思い切ってじゃらんで宿を取ってしまいました。一人で2泊3日というのは最近の私にしては大長征です。しかも平日,渋滞も人ごみも怖くないぜ。行先は裏磐梯。安宿でも文句は言わない。ひたすら歩いてみよう。


 常磐道を北に向かうほど,磐越道を西に向かうほどに紅葉の色が濃くなっていくのがわかります。裏磐梯の紅葉に間に合うだろうか。


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 猪苗代磐梯高原ICで降りてすぐの道の駅で車を降りて…… ぐわあああ,さぶいいい。

 

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 磐梯山をはじめ猪苗代湖を囲む山々が雪で白い。知らなかった。11月半ばで雪なんですね,ここは。

 

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 明日は登ろうと思っていた西吾妻山がキョーレツに私を拒んでいます。私の装備と経験で立ち向かうのは自殺行為であります。さっそく予定変更,幸先いいぜ。

 

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 白鳥がもう来ている。茨城と季節が違いすぎる。1か月は違う。ここは本当に隣県なのでしょうか。こんなことで驚けるのも旅に出た効能です。そもそもここは火山地帯。周囲の山はすべて最近まで活動した火山,もしくはその噴出物でできてます。茨城にない環境です。いろいろ違って不思議じゃない。ああ旅に出て良かった。この先,何が待っているのでしょうか。


 とりあえず今日の第1ストップ,猪苗代湖北西岸の「流れ山地形」を目指します。5万年前に磐梯山の山体が崩落した現場です。ここは地形図上で見るからに怪しい地形で,雲仙岳の前の海底地形みたいだなあ,と以前から思ってました。どんな場所か歩いてみたかったんです。変な趣向だという自覚は十分にありますのでほっといて。

 

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 迷った。どこだここは。

 

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 なんか偉そうな異人さんがモミジに映えてます。

 

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 有栖川宮の旧別邸「天鏡閣」を目標にしていたのですが入り口を通り過ぎてしまったようです。地元の人に大丈夫,通れますと言われた山道を車で駆け上がると…… おお。

 

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 迷ったのも神の配剤か。気づけばさっきは低い雲で覆われていた空もいつの間にか快晴です。この紅葉,空からの贈り物と考えましょう。

 

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 これが天鏡閣。明治の昔にこの地をいたく気に入った有栖川宮が,猪苗代湖を見下ろす丘の上に建てた別邸です。有料で当時の内装が復元された邸内を見学できるのですが…… 良かった。ちょっと高揚いたしました。昔の建築が大好きな私のツボでした。この旅行記内では紹介するのがもったいないのでまた項を改めて。

 

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 天鏡閣の周囲には散策路が整備されているようです。落ち葉を踏みながらぶらぶらしてみます。何ということのない雑木林なのですが木がデカい。茨城の私の周囲にない大木が林を作ってます。宮様のお屋敷のまわりだというので保全されていたのかな。

 

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 これも当時の建物,それを整備して福島県の迎賓館として使っているそうです。

 

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 門前に何げなく生えた大木,よく見たら見慣れぬ樹形のプラタナス。森の中ではこんな形に育つんだ。3種あるプラタナスのうち一番多いモミジバスズカケノキですがあまりにも唐突に生えてます。案外古い因縁でここに在るのかも知れません。

 

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 散策路はまだまだ続きます。1キロ先に展望台があるというので濡れた落ち葉を踏みしめていくと…… ん?

 

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 熊のふん。


 いるんだ。こんな観光客が出歩く場所に。これが福島か。いえ今回はちゃんと熊よけ鈴を持ってきているのですが,まさかここでの遭遇は予期していなかったので車の中です。いかん,撤退。


 ああびっくり,と車に戻って次のストップに向けて出発したのですが…… なんか車内に異臭が。むわーんと。これ,以前にも経験したことがあります。踏んだ。靴の底に付いてる。

 

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 左のブーツで踏んでました。先の道の駅に戻ってきれいにしました。どうやら視認したほかにもあったようです。くまさんがどんだけの密度だ。というか大丈夫か周辺住民。

 

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 すっかり快晴,見たか晴れ男パワー。ウンを踏んで運気も好転,あれをやらねば。

 

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 福島パンニングだあ。まだ火山地帯でパン皿回したことがなかったので地図上で何か所か目をつけて楽しみにしてきました。まずここは地質図で玄武岩がある場所です。大子の玄武岩ざくろ石を大量に見つけたので期待して。

 

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 期待して…… おい何も採れないぞ。


 期待外れでした。探し方が悪かったのかなあ。どこでもざくろ石は採れる,なんて漠然と思っていたのですが。とりあえず砂粒は持ち帰って精査してみます。

 

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 宿へ向かう途中で磐梯山の絶景。立派なお山です。成層火山の優美な山体がかもす「静」と爆裂火口がもたらす「動」が見事なバランスで,いくら見てても飽きません。

 

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 今あの頂きに立つ人はいるのでしょうか。私はそこから見る光景を夢想します。

 

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 宿はまあ取り立てて言うほどもない民宿です。壁もドアも安アパートみたいで,若い人で満室だったらさぞや賑やかで寝られなかったと思いますがなんと今日の客は私一人。風呂も食堂も貸し切りです。紅葉とスキー,二つの繁忙期のはざまのエアポケットみたいなタイミング。私にはそのどちらも動機になり得ないので今日の旅行となりました。食事が私には豪華過ぎです。


 実は泊まりたかった宿がありました。いつぞやご紹介した「山の湯」に行くならこの機会しかないと思ったんです。じゃらんとかに加盟してないようなので直接電話したのですが,電話口のおかみさんに一人ですと告げたとたん「すいませんねえ今一人客はコロナ関係でお断りしてんですよお」とぞんざいに言われました。ちょっとショックでした。いつか行くぞと楽しみにしていたのに,一人はコロナでだめだなどとワケのわからない理由で断られて。もう二度と行くものかと思いました。


 山梨方面そのものがもはや行く気になれず,少し土地勘のある福島で探したらGOTOが使える民宿で「一人旅パック」とやらを謳うこの宿を見つけたのでした。まあ結果オーライと言っておきます。


 夜,宿の庭に防寒装備を固めて出てみました。私の写真機材では星の写真が撮れないことが分かっていたので,今宵のお供は双眼鏡です。満天の星。そんな月並みの表現しか浮かばない文句なしの星空でした。茨城では見られないような明るい天の川。すべての星が明るすぎて1等星や2等星が紛れてしまい,夏の大三角とか逆に分かりづらいくらい。ちょうどアンドロメダ銀河が天頂に在って,250万年前の姿が双眼鏡にほのかに浮かびました。


 ああ,出かけて良かったなあ。

 

 

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歴史館ライトアップの夜

 

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 昨年行きそびれた茨城県歴史館のライトアップ,今年は行けました。やはり心の余裕は人生に必要です。

 

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 夕暮るる。

 

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 まずはスカイランタン。「映え」がするのでネットではよく見かけますが,じっさいに見るのは初めてです。

 

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 そして「茨城で一番美しいイチョウ並木」に灯が入りました。

 

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 人々が思い思いにそぞろ歩くちょっと異界な空間。

 

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 歴史館のシンボル,旧水海道小学校。これすでに映像が投射されてます。

 

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 プロジェクションマッピング,これも初めて見ました。動画も撮ったけど…… メモリー1ギガも使って残すほどのものではありません。YouTubeで見られるそうだし。


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 最後は静かにキャンドルを見て帰ることにしましょう。

 

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 出口で振り返ったら終末的な絵になっていました。たぶん千波湖あたりからサーチライトを照らしているのでしょう。雲が低いので光芒がまじかにありました。


 来々軒で夕食をとって帰りました。いい夜でした。

 

 

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